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Home / 恋愛 / 幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです / 9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。 その7

9.なりふり構わない意地悪令嬢に、ニセ嫁タジタジざまぁーす。 その7

Author: さぶれ
2025-06-25 13:57:48

 何度もこの屋敷に来た事のある中松が、レストルームに案内してくれた。中は広くピカピカの大理石が光っている。どうしてこうお金持ちの家は、調度品から扱っているものまで高級品ばかりなのだろうか。見慣れた壁とか、安い材質は使わないのだろうか。建設費はいくらくらいするのだろうか。計算したら恐ろしい金額になるのだろう。添え付けの鏡を見ながら、低く唸った。これはひどい。

 悲惨な状態の髪型を中松が即席でヘアアレンジをしてくれた。携帯用の櫛(くし)に、ワックスとピンは私の髪型が崩れたらいけないと思い、持っていてくれたようだ。大変用意が良い。流石、執事の中の神。キングオブ執事!

「大丈夫でございますか?」

 ちぎられた髪を誤魔化すようにワックスを塗り、中松の綺麗な指が私の髪をあっという間に整えていく。

「これが大丈夫に見える?」

「見えませんね」

「まあ、頭が引きちぎれるかと思ったけど、中松が助けに来てくれたからよかった。そう言えばお礼言っていなかったわね。ありがとう」

 とりあえずお礼は言っておかなきゃね。神松のお陰で助かったわけだもの。

「心配でございましたから」

「粗相するとでも思った?」

 相変わらず信用が無いわね。

「いいえ。そうではございません。伊織様は大丈夫だと思っておりましたから。そうではなくて、花蓮様の方です。前からあのご令嬢は猫かぶりだと思っておりましたから。あまり良い噂は聞きませんので、伊織様になにかするのではないかと思い、目を光らせておりました」

「見事ね。読み通りよ。はい、録音機。見つかる前に渡しておくね」

 実は中松から、一矢には内緒でボイスレコーダーを持つように言われていた。三条家に入ってからドレスの内側に付けた録音機を回し、今までの会話を録音していたのだ。それをストップして彼に渡した。

「いいのが録れているわ。あのご令嬢に酷いこと言われたし」

「それはまた」中松は不敵な顔で笑った。「お灸を据えなくてはいけませんね」

 出た! 悪魔の鬼松! 敵にだけは回したくない男。

「応急処置ですが、セットが出来上がりました。そろそろ戻らなくては一矢様が怪しみます」

 手際もいいし、新しいアレンジも応急処置とか言いながら綺麗だった。

 この男は本当になんでもできるのね。どんなことでも完璧にこなしちゃう。腹の立つ男ね。いつかぎゃふんと言わせてやりたい。

「随分時間
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